コラム
2025年3月6日 研究情報の公開について
- 同意の取得について
人を対象とする医学系研究に関する倫理指標(2014年12月22日)第12の1(2)イの規定により、研究者等は、被験者からインフォームド・コンセント(説明と同意)を受けることを必ずしも要しないと定められております。そのため今回の研究では患者さんからの同意取得はせず、その代わりに対象となる患者さんへ向けホームページで情報を公開しております。以下、研究の概要を記載しておりますので、本研究の対象となる患者さんで、ご自身の情報は利用しないでほしいなどのご要望がございましたら、大変お手数ですが下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
- 研究課題名:
外来心臓リハビリテーションに参加できない高齢心不全患者に対する非監視下での運動療法の効果
研究責任者:小林琢
研究分担者:岩﨑孝俊
- 研究の意義と目的:
人口の高齢化に伴い、日本のみならず先進国において心不全患者さんが急増しています。心不全は入退院を繰り返しながら全身の力も少しずつ落ちてきます。そして、歩いてトイレに行ったり、食事をしたりといった、普段行えていた日常生活を過ごす事が難しくなりやすい傾向があります。
本邦では外来心臓リハビリテーションという有効な治療法がありますが、身体機能が低下した方々にとっては参加が難しく、その参加率はわずか7%と極めて低いのが現状であります。したがって、月1回の限られた通院頻度の中で患者さんにとって有効な運動療法を提供する方法について検討することとしました。入院や加齢によって身体機能が低下した高齢心不全患者さんにとって、ご自宅での運動療法の効果を明らかにすることは、有効な在宅療養支援の方法を推進するうえで重要な資料となると考えております。
- 介入研究の対象:
本研究の対象となる患者さんは, 西暦2025年3月1日から西暦2030年3月31日の間に, 当院に心不全で入院して退院後に外来へ通院されている65歳以上の患者さんです。利用させていただくカルテ情報は下記の通りです。
【調査項目】
1.基本情報
年齢,性別,Body mass index: BMI,要介護認定の有無、居住形態
2.医学的情報
重症度(NYHA)、基礎疾患、既往歴、再入院の有無、CS分類、心臓超音波検査(LVEF、LAD、E/E’)、血液データ(Cre、Alb、BUN、eGFR、CRP、Hb、Na、NT-pro BNP)、在院日数
3.理学療法評価
Short physical performance battery(SPPB)、握力、体組成、6分間歩行テスト(6MWD)、Barthel index、離床および歩行までの日数
4. 精神・心理面評価
疾病管理能力(ヨーロッパ心不全セルフケア行動尺度日本語版)、介護負担度(zarit)、ウェルビーング(LSIK)、老年期うつ病尺度(GDS15)、健康関連QOL(SF-8)、認知機能(Mini-cog)
- 予後:死亡の有無と生存日数, 死因, 再入院・再発の有無と日時(心血管疾患およびその他の原因)
※5に関しましては、1年後に郵送法にて、予後の調査(生存確認, 再入院の有無)をさせていただきます。
- 介入方法
退院時の評価結果に基づきまして、有酸素運動、バランストレーニング、筋力トレーニングを指導致します。運動の頻度や強度に関しては、日本循環器学会「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」および日本心臓リハビリテーション学会「心不全の心臓リハビリテーション標準プログラム」に沿って進められます。運動内容や実施の有無に関しては当院で作成したパンフレットを用いて、月1回の診察と運動指導の際に確認を行います。6ヶ月後に再評価を行って効果を検証致します。
- 研究実施期間:2025年3月1日~西暦2030年3月31日
- 被検者の保護:
本研究に関するすべての研究者は、ヘルシンキ宣言(2013年10月WMA
フォルタレザ総会[ブラジル]で修正版)および人を対象とする医学系研究に関す
る倫理指針(2014年12月22日)に従って本研究を実施します。
- 個人情報の保護:
患者さんの情報は、個人を特定できる情報とは切り離したうえで使用します。
また、研究成果を学会や学術論文で発表しますが、患者さん個人を特定できる個
人情報は含みません。
- 利益相反について:
本研究の責任者および分担者には開示すべき利益相反はありません。
- お問い合わせ先:
みなみ野循環器病院リハビリテーション科
電話:042-637-8101(受付時間:平日9:00~17:00)
研究担当者:小林琢