コラム
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2017年9月1日 「自分は健康だから大丈夫」という過信が突然死につながる
ついさっきまで健康そうに見えた人が、予期せず帰らぬ人に――突然死は、文字通り何の告知もなく、その人の人生を強制的に幕引きしてしまう、なんともやりきれない亡くなり方です。
突然死は、医学的には「症状が出現してから24時間以内の予期しない内因死」と定義されています。内因死とは、事故で傷を負うなどの外部からの要因ではなく、自らの身体の中でなんらかの異変が起き、それがもとで亡くなることです。
実際にあったケースをお話ししましょう。
70歳代の女性、Aさんはある夜、急に胸が苦しくなったため、自分で救急車を呼びました。到着までの間、入院の可能性を考え、着替えや洗面道具など必要なものをひととおり用意しました。そして自分で歩いて救急車に乗り込み、病院へ向かったのですが、その車中で亡くなってしまったのです。胸の苦しさを自覚したとき、Aさんに残された時間は既にほんのわずかだったというわけです。
自分で入院の準備をし、自分の足で救急車に乗った人が、その後10分程度で亡くなってしまう――にわかには信じがたいことです。しかし、これが突然死の恐ろしさであり、誰にも予測がつかないのです。
「健康自慢」の人こそ注意してほしい
いわゆる「健康自慢」の人にも、突然死は容赦なく襲いかかります。
元Jリーガーの30代のサッカー選手が数年前、練習中に倒れそのまま亡くなってしまったことを覚えている人も多いと思います。このケースに限らず、およそ病気とは無縁のイメージがあるアスリートの突然死は、決して珍しいことではありません。
一般の人でも、昔、野球をやっていたとか、水泳で大きな競技会に出たとか、あるいはゴルフが大好きで、週末となるとラウンドに出ていたとか、運動になじみのある人はたくさんいます。そういう人は概して年を重ねても同年代に比べ体力があり、病気知らずの人が多いものです。
しかし、本当にどこも悪いところがなければ問題ないのですが、外見だけでは判断がつかないものです。本人はどこも悪くないと自信をもっていて、周囲から見てもあの人は健康そのものであったとしても、突然死は起こりえます。
皮肉なことに、普段から身体のあちらこちらに不調がある人ほど、ほんのささいな身体の変化もおおごとにならないよう用心し、節制するものでしょう。
一方、健康自慢の人は、体調に明らかな変化があっても、「このくらいなんともない」と低く見積もりがちです。「年のせい」とか「疲れのせい」「一晩寝れば治る」などと、やりすごしてしまうのです。いわんや自分に突然死の可能性があるなどとは、夢にも思わないでしょう。
しかし、そのまま何も手を打たないとしたら、もしかしたら突然死の確率を高めてしまっているかもしれないのです。
突然死の予防について、知識を持っていただきたいと思います。