コラム

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2018年4月3日 【健康な心臓を取り戻す生活習慣・運動編】ウォーキング、ジョギング、水泳……メタボ改善には有酸素運動を

食事とともに、心臓病予防の大きなカギとなるのが運動です。運動には、大きく分けて有酸素運動と無酸素運動の2種類があり、心臓病の予防には有酸素運動を日々継続して行うことが効果的とされています。

有酸素運動とは、酸素を使い体内の糖質・脂質をエネルギー源とする、筋肉への負荷が比較的軽い運動を指します。脂肪を燃料とするので、血中の中性脂肪や、内臓脂肪の減少が期待できます。具体的にはウォーキングやジョギング、エアロビクス、水泳などがあります。

これに対し無酸素運動とは、筋肉を動かすエネルギー源として酸素が使われない運動です。この場合、筋肉に蓄えられたグリコーゲンという糖がエネルギーとして使われます。短距離走や重量挙げなど、短時間で強い負荷がかかる運動が無酸素運動にあたります。

運動の強度とエネルギーの関係

このように有酸素運動と無酸素運動とでは、エネルギーのつくられ方に大きな違いがありますが、実は有酸素運動でも、強度が上がっていくと結果的に無酸素運動になってしまうことがあります。有酸素運動をしている間は、呼吸で取り入れた酸素がエネルギーをつくる材料となります。

しかし強度が高くなると、その酸素だけではエネルギーの産生が追いつかなくなるため、筋肉の解糖系という別のシステムからエネルギーをつくり調達しなければならなくなります。このとき、筋肉から疲労物質もつくられ、それが心臓に負担をかけてしまうのです。

ここでの「強度」は「心拍数」に置き換えることができます。例えば、軽めのジョギングをしている途中で、信号が変わるなどの理由で急に全速力で走った後、しばらくの間ゼイゼイと息が上がることがあります。このとき、身体の中では有酸素運動から無酸素運動に切り替わっている可能性が高いといえます。

心臓に負担をかけずに、心臓の病気を予防するには、有酸素運動を継続して行うことが大切なのです。

なお、外来で「犬と1日散歩してるのに、なかなか効果がない」という患者さんがいますが、実際には少し汗ばむくらいの運動をしないと結果は出にくいといえます。