コラム

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2018年4月1日 【健康な心臓を取り戻す生活習慣・食事編】夜の主食と間食の甘いものを控えてみる

腹八分目でも目に見える減量につながらない場合や、ある程度体重が減ったものの期待ほどではなかった場合、順調に減っていったけれどある時点から減らなくなってしまった場合など、「行き詰まり」があったら、次の戦略として「糖質」に目を向けてみましょう。

内臓脂肪が蓄積する大きな要因の一つが、過剰な糖質です。消費されなかった糖質は中性脂肪に変わり身体に蓄えられます。内臓にもたまりやすく、メタボを進めるもとになってしまいます。

食事の総量を減らして「腹八分目」になっているのですから、これ以上総量を減らすと空腹感がつのり、ストレスがたまって長続きしません。そこで、食事の量ではなく「質」に目を向けてみようというわけです。

「糖質」について知っておいてほしいこと

実は、糖質制限は世界的にみると賛否両論あります。否定する理由としては、たんぱく質や脂質の摂取が増える、そもそも続けられない、などがあります。ただ、糖質制限をすることで確実に内臓脂肪を減らすことができます。すなわち、メタボの改善策としては、糖質制限は理想的であり、われわれ心臓を専門にする医師にとって最終手段ともいえる治療法なのです。

日々の食事の中で糖質の多くは、ご飯やパン、麺類などの主食から摂っています。また、和洋菓子、果物といった甘いものにももちろん、多くの糖質が含まれています。これらをたくさん摂ると内臓脂肪がつきやすいのですが、だからといってやみくもに悪者扱いし、制限するのは、私はおすすめできません。

例えば動脈硬化が進んでしまい、虚血性心疾患のリスクがとても高い場合であるとか、糖尿病であるとか、なんらかの病気があり糖質制限が治療にとって必須の状態であれば、厳密にしていく必要もあると思います。しかし、病気を発症していない一次予防の段階では、あまり自己判断で極端な制限に走ると、かえって栄養バランスを崩し心身の不調を招きかねないと思うからです。

糖質はそもそも身体や脳のエネルギー源として大切な栄養素ですから、量は控えめにしても、何が何でも摂らないとしてしまうのは、病気を発症していない人に対して必ずしも適切とは思えません。それに何より、糖質を摂らないようにするがあまり、朝昼晩すべて主食抜きでおかずだけ、といった厳しい制限を自分に課すことが、果たしてその人の食生活を豊かにするのか疑問に思うからです。毎日のことなのに、その都度物足りなさを感じながらでは、食事が楽しくなくなってしまいますし、やがて欲求不満が抑えられなくなり、長続きしない、ということも考えられます。

まずは夜の主食と間食の甘いものから

当院では、一次予防、二次予防の別なく、糖質を控えたほうがいいと思われる患者さんには、夜の主食と、間食の甘いものをやめてみることを提案しています。夜は、食後の身体の活動量が日中よりも少ないため、朝や昼よりも摂った糖質が消費されにくく、中性脂肪になりやすいのです。裏を返せば、夜の主食を抜くことは、それまで中性脂肪のもとになっていた糖質の摂取が抑えられるわけですから、メタボ対策に効果大といえます。

間食については、今までの習慣でつい甘いものに手が出てしまう人が多いのではと思います。お腹が本当に空いているわけではないけれど、3時の声を聞くと何となく食べたくなるとか、口さびしくなる、というパターンもよくあります。

かといって、間食をきっぱりやめてしまうのも、なかなかつらいものです。ですからせめて甘いものはやめ、例えばナッツやチーズなど栄養価の高いものを少しだけ、というように糖質以外のもので工夫してみては、と患者さんにはアドバイスしています。