コラム

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2018年3月2日 メタボ改善のための減量ペースは「3~4カ月で体重の5%減」が目安

メタボを改善するために行う減量は、内臓脂肪を減らすことが一番の目的です。それには、ある程度長い目で見て減量計画を立てる必要があります。短期間で無理なダイエットを試み、体重が急激に落ちたとしても、それは単に水分が減っただけであることも多く、すぐにリバウンドしてしまいます。

また、極端な食事制限をした結果、脂肪ではなく筋肉量が落ちてしまうこともあります。それではメタボ改善にはならず、つらい思いをしても報われません。さらに、高齢になるほど、急に体重が減ると体力や抵抗力が奪われやすく、風邪やその他の内臓疾患など、思わぬ病気を引き起こすもとになりかねません。

「心臓病予防のカギは「食事」と「運動」の両輪」で触れた通り、内臓脂肪は食事と運動を組み合わせることによって、体脂肪よりも減りやすいことがわかっています。ですから、焦らなくてもコンスタントに適切な生活習慣を続けていけば落ちていきますし、体重のリバウンドもしにくくなります。当院の外来では、体重がある患者さんに対して、日常生活を見直してもらい、その人に合った食事や運動を患者さん自身で決めてもらっています。そして3カ月後に確認し、もし改善傾向がなければ糖質制限などを行います。

減量のペースは、「まずは体重の5%を3~4カ月かけて」が目安となります。
体重80キロの人なら、4キロを4カ月ですから、1カ月にマイナス1キロのペースでいいわけです。5%の減量で、動脈硬化の危険因子とされる高血圧や高血糖、脂質異常の値の改善が見込まれるとされています。

ただし、虚血性心疾患を予防するための直接的な目標は、動脈硬化を進ませないことにあります。減量はそのためにとても重要ですが、順調に減量できたとしても、高血圧や高血糖、脂質異常は思ったほど改善されておらず、動脈硬化の進行を防ぐまでには至っていない、というケースもあります。過去に動脈硬化を指摘されたことがある人はもちろん、血圧や血糖値、脂質、コレステロールの値が気になる人も、減量だけではなくそれらの状態の推移も気にしておくべきです。年に1度程度は医療機関で、動脈硬化のチェックを受けることをおすすめします。