コラム

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2017年11月2日 心臓病とストレスの関係③ストレスを捉える3つの観点

ストレスは万病のもと。心臓病にも関係があると言われています。

ただ、前回のコラム(心臓病とストレスの関係②ストレスを与える4つのもの)でも説したように、ストレスといっても必ずしも嫌なこと、悪いことばかりではありません。一般に好ましいとされることも、時にはストレスになってしまうのです。あえてストレスを他の言葉に置き換えると、「変化」というニュアンスでしょうか。おそらく、「これまでと違うこと」が私たちにある種の緊張を与えるのでしょう。

「これまでと違うこと」がいけないのなら、毎日同じように暮らしていけばいい――そう考える方もいるかもしれません。しかし寸分違わずまったく同じように暮らすことはできませんし、たとえ自分自身が変わらなくとも、自分の周囲は間違いなく変化していきます。そしてなにより、「何も変化もないこと」でさえも私たちにとってはストレス(ストレッサー)となるのです。

ストレスの「もと」はさまざまありますが、しかしすべての「もと」が同質かというとそうではありません。
少し古い研究になりますが、生活場面での出来事をストレスの程度で順位づけしたものがあります。その研究では、「Death of spouse(配偶者の死)」が最も高いストレス(ストレッサー)」とされました。興味深いところでは、「Vacation(休暇)」や「Christmas(クリスマス)」といったものもストレス(ストレッサー)として挙げられているのです。

そして、ストレスの順位といっても、容易に納得できるものではありません。なぜなら、誰もが同じようにストレスに感じるわけではない点がストレス問題の特徴のひとつだからです。ストレスの「もと」をどう感じるかは、次の3つの観点を総合的に考えてみるといいかもしれません。

① 個人の資質
② 環境
③ 「出来事」の衝撃度や「出来事」との関係の深さ

それぞれについて解説していきましょう。

ストレスを捉える観点①個人の資質

個人の資質とは、性格に代表される特性ですが、ポジティヴ(前向きな性格)/ネガティヴ(後ろ向きな性格)に限らず、知性や社会性(精神的成熟度や経験知)、体力などが関係します。

知性や社会性は適切な物事の処し方を裏打ちすることが多く、これが身についていると余計なトラブルに巻き込まれる可能性が低くなります。困難(ストレス)に見舞われたとき、どう対処すればいいかといった見通しを立てたりできるのも、知性や社会性があるからです。また、意外かもしれませんが体力も重要です。体力は気力を支えているからです。

ストレスを捉える観点②環境

環境とは、文化といった大きなものから地域、家庭、友人関係、経済力などの身の回りの環境までを指します。「男は弱音を吐かない」「女は家事が得意」などといった文化的な思い込みなどがストレス(ストレッサー)になっていることもあれば、自分を支えてくれる友人や家族の存在が救いになっていることもあります。

また、関係のないように思える「経済力」も、実はストレス対処に役立つことがあります。どうしても仕事のことでひどいストレスを感じ、仕事を辞めてしまったとします。それでもしばらくゆっくりできる経済的な余裕があれば、ひと息つき、「次の道」を見つけられるかもしれないからです。

ストレスを捉える観点③「出来事」の衝撃度や「出来事」との関係の深さ

「出来事」の衝撃度や「出来事」との関係の深さとは、「ストレス」の大きさや「ストレス」との関係のことです。命にかかわる「出来事」に遭遇するのかや、自分との関係がどれくらい深いものなのかによって、ストレスに感じる程度に差があります。自分の家族が交通事故に巻き込まれたときと新聞で読む遠くの地域の会ったことのない人の交通事故とでは、感じ方が異なるでしょう。命にかかわること、自分に関係に深いことほど、ストレスに感じやすくなると考えられています。

以上の3つのうち、関係の深さは別にして、③はあまり個人差のないところです。同じ「出来事」に遭遇すると誰でも似たようなショックを受けるものです。しかし、①と②については、少し個人差があります。この点については、「首尾一貫感覚(SOC)」として、少し違った角度から考えられてもいます。次回はこの点について、考えていきたいと思います。