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2017年9月16日 立体画像で心臓の様子がわかる”心臓CT検査”とは

狭心症や心筋梗塞が強く疑われる場合は、心臓CTと石灰化スコアの検査を行うことがあります。
本コラムでは、心臓CTについて解説します。石灰化スコアについては、こちらのコラムで解説します。

心臓CTとは

CTとは、X線を使って体の断面を撮影する検査です。
X線は体の内部を通過しますが、臓器によって通過しやすさが異なります。CTは通過したX線量の差をデータとして集め、コンピュータで処理することによって、体内のほとんどの臓器を画像化することができます。

近年、技術の進歩により、CTで心臓の状態を見るとこができるようになりました。心臓CT検査は、通常のCT検査のように、大きな輪の機械の中に入り、10秒息を止めるだけで冠動脈の異常がわかります。
従来、心臓の血管(冠動脈)の状態は、直接手や足にカテーテルを入れて行う冠動脈造影検査(心臓カテーテル検査)でしか判別ができませんでした。しかし冠動脈造影検査は長時間に及ぶため、入院を必要とします。さらに、カテーテルを身体に入れるため、患者さんに大きな負担がかかっていたのです。

検査は二種類あります。
動脈硬化の具合だけをみる検査では、画像をより見やすくするための薬である造影剤は使用しません。検査時間は5分です。
冠動脈の状態を詳細にみる検査では、造影剤を使う必要があります。造影剤を使うことで冠動脈が細くなっていないかを確認するだけでなく、冠動脈に動脈硬化と呼ばれるコレステロールなどの老廃物がついていないかも確認できます。検査時間は約15分です。
造影剤を使用しても、カテーテルではなく注射で注入するため、入院の必要はなく、検査当日に帰宅できます。両方の検査とも当日に結果を説明することができ、冠動脈の状態を早期に確認することで狭心症や心筋梗塞を防ぐことができます。

当院が採用する”マルチスライスCT”の特長

心臓CTは、心電図をとりながら撮影する点以外は、頭や肺を撮影するCTと同じです。当院では冠動脈を撮影する際、”マルチスライスCT”という血管を何枚もの輪切りにした画像が得られる装置を使用します。
この装置の強みは大きく2つあります。一つは、他の検査では見つかりにくいような細かな病変も明らかになることです。もう一つは、得られた撮影データをコンピュータ処理し、立体画像に加工できることです。冠動脈や心臓の病変の位置や範囲を的確に把握することができるので、治療方針も立てやすくなります。

現在マルチスライスCTはその機種によって、16列、32列、64列という種類に分けられ、列数が多いものほど高性能だと考えられています。当院で使用しているCTは128列のCTで、患者さんへの負担が少なく、かつ正確に診断することができます。

当院では、患者さんの負担を最小限にすることを常に念頭においた検査を行っています。心臓CT検査も、被曝と造影剤をいかに減らせるかを考えながら行っています。

また、どんなに撮影機器や撮影技術がすぐれていても、得られた撮影データから正確に病変を読み取れなければ適切な診断につながりません。そのため、画像の解析にはこだわりをもって、冠動脈の状態を詳細に見ていきます。また冠動脈以外にも、心臓の動きや心筋・弁の状態など、撮影データから得られる情報をすべて活かし、心臓全体の状態を解析していきます。

心臓CT検査の注意事項

心臓CT検査の注意事項としては、造影剤を使わない検査では、特にありません。造影剤を使う検査では、検査の前3時間は食事を取らないようにお願いしています。検査後は通常と変わらない生活をしてかまいませんが、造影剤を使用した場合は、造影剤を早く排泄するため、水分を積極的に摂ってください。

立体画像で心臓の様子がわかる心臓CT検査についてご紹介しました。
早期発見・早期治療のためにも、不安があればすぐに医療機関に相談し、検査を受けるようにしてください。