下肢静脈瘤とは

足の静脈の血流が悪くなることで血管がふくらみ、足にデコボコやこぶができたり、血管がクモの巣状や網目状に浮かび上がったりするほか、足がだるい、つる、むくむといった症状が特徴です。人の足の静脈には、血液が重力によって下のほうに逆流しないよう薄い膜のような弁がついていますが、この弁が長時間の立ち仕事や妊娠、肥満によって静脈に強い圧力がかかることや、加齢などが原因で壊れてしまい、その結果、血液が逆流して足の下部に血液がたまり、静脈が腫れてしまいます。
生命に関わることはなく、多くの場合痛みを感じないことから日常生活に大きな影響はありませんが、基本的に自然に治ることはなく、時間の経過とともにゆっくりと進行します。最も発症しやすい血管の病気といわれ、特に女性に起こりやすいとされています。

検査方法

視診と触診による観察に加え、ドプラ検査や超音波検査、3DCT検査などの非侵襲的な検査のほか、必要に応じて下肢静脈瘤造影を行います。

1.ドプラ検査

ドプラ血流計と呼ばれる検査機器を用いて赤血球に超音波をあて、血流の変化を音として捉え、その音の変化によって血管内で逆流が起きているかを調べます。実際の検査では、超音波の出るプローブと呼ばれる器具を皮膚の上から当てながら、ふくらはぎを手でつかむようにして圧迫したり、圧迫を解いたりした時の音の変化を検査します。

2.超音波検査(カラードプラ検査)

超音波をあて、画像で血流の速度によって異なる色で表示させることで、血流の方向を観察したり、血管の大きさや走行逆流の有無を観察したりする検査です。実際の検査では、超音波診断(エコー検査)装置を使い、プローブを皮膚の上から当てることで、血管を画像で表示します。

3.3DCT検査

足の血管を3D写真で撮影する検査です。当院では、受診した当日中のCT検査が可能で、先進のマルチスライスCTにより造影剤を使用せずに下肢静脈瘤を評価しますので、造影剤にアレルギーがある方でも検査を受けることができます。

治療方法

症状が軽い場合には、医療用弾性ストッキングの着用による圧迫療法を施しますが、根本的に治療をするには、高位結紮(けっさつ)術やストリッピング術と呼ばれる手術を行う必要があります。

1.弾性ストッキングによる圧迫療法

専用の医療用弾性ストッキングを履き、足にできた静脈瘤に外から適度な圧力を与えることで静脈血の逆流と静脈瘤内に血液がたまるのを防ぎます。医療用弾性ストッキングは、症状によってサイズや仕様を選びます。ただし、この圧迫療法はあくまでも症状の進行防止や現状維持が目的で、下肢静脈瘤そのものが治るものではありません。

2.高位結紮術

静脈瘤ができている静脈を糸でしばり(結紮)、切り離す治療方法です。当院では、局所麻酔による日帰り手術を行っています。

3.ストリッピング手術

手術により、静脈瘤ができている静脈を抜去する治療方法です。再発が最も少ないとされる治療方法です。当院では、局所麻酔による日帰り手術を行っています。

当院の「下肢静脈瘤外来」について

当院の「下肢静脈瘤外来」は診察日が固定ではございません。
お手数ですが、お電話にてご相談ください。

☎: 042-637-8101

閉塞性動脈硬化症とは

足の血管の動脈硬化により血管が細くなったり、詰まったりしてしまうのが、閉塞性動脈硬化症です。閉塞性動脈硬化症になると足への十分な血流を保つことができないことから、足先の冷えやしびれ、足の皮膚の色が青白くなるほか、歩いている途中に足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなりますが、少し休むとまた歩けるようになる「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」などの症状が起こります。さらに、進行すると安静時にも足の痛みやしびれといった症状が出てくるようになり、最終的には足が壊疽(えそ)を起こし、切断を余儀なくされることもあります。
動脈硬化が原因であることから50歳以上に多く、糖尿病や脂質異常症、高血圧症、喫煙、高尿酸血症、慢性腎臓病、肥満などの生活習慣病を持っている方ほど起こりやすい病気です。また、動脈硬化は全身同時に進行するため、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などと合併することも多く、重篤な疾患につなげないためにも、より早期に発見し、早期に治療を開始することが望まれます。

主な症状

閉塞性動脈硬化症の症状は、狭窄や閉塞の悪化に伴い段階的に進んでいきます。

  • Ⅰ度 無症状、しびれ、冷感
  • Ⅱ度 間歇性跛行
  • Ⅲ度 安静時疼痛
  • Ⅳ度 潰瘍、壊疽

治療方法

当院では、閉塞性動脈硬化症に対し、生活指導や運動療法、薬物療法に加え、経皮的血管形成術(PTA)を行っています。経皮的血管形成術は、エックス線透視下でカテーテルと呼ばれる細い管を足の血管内に進めて造影を行った後、造影によって見つけた動脈の細くなっている部分(狭窄)にガイドワイヤーと呼ばれる針金を通過させ、それに沿って進めたバルーンと呼ばれる風船を膨らませて狭くなっていた血管を広げ、血流の回復を促します。また、必要に応じてステントと呼ばれる金属の筒を留置することで、狭窄の再発を予防します。