コラム

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2017年10月3日 心臓病とストレスの関係②ストレスを与える4つのもの

こちらのコラムでもお話ししたとおり、あらゆる病気のもととなるストレスは、心臓病にも関係があると言われています。心穏やかでない日々は、心身にさまざまな影響を与えるものなのでしょう。

しかしストレスとは、厳密に言えば、「嫌なこと」に限りませんので注意が必要です。遠足や旅行、その他の一見楽しいイベントも楽しいばかりではなく、それなりに疲れを自覚します。それも一つの「ストレス」なのです。

ストレス(ストレッサー)の分類はさまざまありますが、一例として4つを紹介しましょう。

身近な環境のこと:暑い・寒い・うるさい・くさい ……など
ご自身の身体のこと:病気・けが・空腹・疲労 ……など
人間関係:家族や友人のこと・親戚や近所付き合い・会社での人間関係 ……など
環境変化:災害・天変地異・引越し・進学・就職・転職・結婚・社会環境の変化 ……など

これら4つのうちいずれか1つではなく、程度の差こそあれ、複数の要素を併せ持つと考えるといいでしょう。
例えば「引っ越しをしたら慣れないことが多くてなかなか疲れが取れない」というのは、④に伴って、③や②も関係しているのでしょうし、生活環境が変わって、①も生じているのかもしれません。

また結婚は、幸せだらけのことのようで、新しい環境・新しい人間関係を始める「変化の時」でもあり、ストレス(ストレッサー)になり得るものです。

「何もすることがない」状態も、それまで忙しくしていた環境からの変化という点ではストレス(ストレッサー)になります。病院に入院すると、三食お世話つきで極楽かと言えばそれほどでもなく、早く退院したいという気持ちになるのが、健康的な心のありようです。海外旅行も、しばらくすると日本に帰りたくなることがあるでしょう。

人間は「変化」を求めるもの

心理学の実験で、密室にこもってある時間を過ごすというものがあります。代表的なものとしては、視覚・聴覚・(指先の)触覚が制限され、安静を保ち続けるというもの。ただし、食事やトイレは許可され、報酬も与えられます。ストレスの点から考えると、一切の雑事から解放されるかのような環境ですが、そうした状態がずっと続くと、その実験の参加者は平常の状態を保てなくなりました。

この実験から示唆されるのは、私たちは安静・安楽・安逸な状況であってもそれが長い時間続くことには耐えられず、「変化」を求めるものだということです。しかし「変化」は、これまで見てきたように、ときに私たちに多少の緊張を与え、ストレスとなりえます。そう考えると、ストレスというのは避けるべきものなのか、もしくは求められるものなのか、その違いが曖昧になってきます。つまり、身の回りにあるどんなものでも、私たちにとってはストレスの「もと」であるのです。

しかし、必ずしも誰もが同じように、身の回りのことをストレスに感じるわけではないのが難しい点です。次回は、この点について詳しく考えていきたいと思います。