コラム
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2018年3月1日 心臓病予防のカギは「食事」と「運動」の両輪で
心臓病は、メタボになったら誰もが発症しうる病気です。予防に取り組むのは早ければ早いほど、着実かつ楽に、発症リスクを下げることが可能です。悪い生活習慣を背景としてメタボになり、それが身体の代謝異常を引き起こして動脈硬化を進めてしまうことは「メタボリックシンドロームと動脈硬化の関係」で解説した通りです。
「今、どこも具合の悪いところはないから」と甘くみていると、みるみる代謝異常が進み、正常化させていくのが困難になり時間もかかってしまいます。
高血圧にしても高コレステロールにしても「薬を飲んで数値を下げればいいじゃないか」と思われがちです。しかし、薬はできるだけ少なく、補助的な位置づけでの服用をと私は考えます。実際に、動脈硬化があっても生活習慣を見直すだけで、長く何事もなく過ごしている人もたくさんいます。
予防には「一次予防」と「二次予防」があります。
一次予防は心臓病の既往がない人が、今後の発症を予防すること、二次予防は心臓病の治療後に、再発を予防することです。ただしいずれも、動脈硬化をつくらせない、進ませない生活習慣を身につけ、続けることが予防の大原則です。
二次予防は治療後の再発予防ですので、追ってお話ししましょう。今回は、一次予防を中心に取り上げます。
食事と運動で、まずは「減量」を
動脈硬化の進行を抑え、心臓病の発症リスクを減らすには、何はともあれ「減量」に取り組むことが大切であると考えます。
肥満には皮下脂肪型と内臓脂肪型があると「メタボリックシンドロームと動脈硬化の関係」で話しましたが、特に、動脈硬化との関連が強い内臓脂肪型肥満=メタボは、食事と運動で減量しやすいことがわかっています。
ただし、どちらか一方でやせようとしても、なかなかうまくいかないものです。お腹まわりが気になるからと、ジムで筋トレに励んでも、その後にお腹が空いてたっぷり食べてしまっては、元も子もありません。
肥満は、食事で摂ったエネルギーが運動などで消費されたエネルギーを上回ることで進んでしまうことはよく知られています。消費エネルギーを増やそうにも、例えば体重70キロの人がジョギングを30分した場合、消費エネルギーは280キロカロリー程度で、ジャムを塗ったトーストを1枚食べると、ほぼ相殺されてしまうのです。運動だけで減量し、内臓脂肪を減らそうというのは現実的ではありません。
食事と運動は減量対策の「両輪」であり、どちらも大切です。運動も、心肺機能の向上、筋力の強化を通して、やせやすくなる身体づくりという点で、心臓病の予防には欠かせません。医療機関で、すでに心臓の病気にかかってしまった患者さんに、再発予防のために減量指導を行う際にも、食事面と運動面の両方についてアプローチしていきます。
心臓病の予防にはこのように、適切な運動と食事で理想的な体重をキープすることが基本となりますが、その他に禁煙や睡眠の質の向上、ストレスコントロールなども大切です。一次予防の大前提として、覚えておいていただきたいと思います。