コラム

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2017年12月3日 糖尿病の新薬として注目を集める「SGLT2阻害薬」とは

近年、耳にすることが増えた「生活習慣病」という言葉。
いったいどのようなものなのか、具体的に説明できますか?

生活習慣病とは、生活習慣が原因となる疾患を指します。
飲酒、喫煙をはじめとし、偏った食事や運動不足、ストレスなどが発症の原因となります。

生活習慣病と呼ばれるのは、糖尿病や高血圧です。
糖尿病や高血圧は自覚症状がほとんどあらわれないため、知らず知らずのうちに進行します。
糖尿病によって動脈硬化の進行が早められ、心筋梗塞や狭心症を引き起こし、突然死の原因になるのです。

今回は、心筋梗塞や狭心症を引き起こす”糖尿病”を取り上げて説明しましょう。

糖尿病とは 

糖尿病とは、一言でいえば「血糖値が上がる病気」です。
血糖値とは、血液の中のブドウ糖の濃さのことで、健康な人であれば、空腹時に80~110mg/dLだとされています。これよりも血糖値が高くなると「高血糖」といい、その状態が続くことを糖尿病といいます。

日本国内の糖尿病の患者数はおよそ1,000万人にのぼり、年間死亡者数は1万人を超えています。糖尿病患者が心筋梗塞・狭心症にかかる確率は、糖尿病でない人の3~4倍だといわれています。

今までの糖尿病の予防と治療

糖尿病の予防と治療の基本方針としては、血糖値が上がらないようにすることと、血糖値が上がりにくい体質に改善することです。

具体的に言うと、食事や飲酒の量を抑えて血糖値の上昇をストップすることと、血糖を効率よく利用できる体質にすることです。後者はつまり、血糖をコントロールするホルモン「インスリン」がよく分泌され、よく働く体質にすることです。

健康な人であれば、血糖値が上昇するとすぐにインスリンが分泌され、血糖値が上昇しすぎないように保たれます。対して糖尿病にかかっていると、インスリンの分泌が遅れたり、働きが悪くなったりして、高血糖状態になってしまうのです。

そのような人のために、今までであれば食事療法と運動療法の他、インスリンを体外から補充するインスリン療法が選択されてきました。

糖尿病治療の新薬”SGLT2阻害薬”

2014年4月に登場した糖尿病治療の新薬が、SGLT2阻害薬です。

SGLT2はたんぱく質の一種で、腎臓の尿細管に存在しています。SGLT2は、必要な成分が出ていってしまわないよう、尿からナトリウムやブドウ糖を再吸収する役割を担っています。

SGLT2阻害薬は、SGLT2による再吸収の働きを抑制し、余分な糖分を尿とともに排出させる薬なのです。

SGLT2阻害薬のメリット・デメリット

SGLT2阻害薬のメリットとしては、前述のように、血糖値の上昇を抑えられることがあります。血糖値のみならず、血圧の減少や、エネルギーを排出することによる体重の減少といったメリットも期待できます。

デメリットとしては、脳血栓や低血糖、全身に発疹があらわれるといった、服用の副作用が報告されています。

SGLT2阻害薬を服用する際の注意点

尿と一緒に糖分を排出しますので、糖分を多くすれば必然的に尿の量も増えます。すると、体内の水分が不足してしまいます。

水分不足は、脳血栓などの原因になりえます。
SGLT2阻害薬を服用する際には、十分な水分補給を心がけましょう。

また、SGLT2阻害薬を服用しているからといって、食事療法や運動療法をないがしろにしないようにしてください。